「奇策好き」である。
孫子の兵法に
「兵は詭道なり」とある。
詭道とは人を騙し欺くことである。
能力があっても敵には無能を示し。遠くても敵には近くに見せたり、敵を騙し欺く事が戦いに勝つ鍵を握ると孫子の兵法は説いている。
菅総理は孫子も兵法に基づいてコミュニケーションを図っているのか、勘ぐりたくなる程に、奇策を連発する。
唐突な浜岡原発の停止、辞任発表で不信任決議を回避、自民党参院からの浜田議員一本釣り、脱原発で解散総選挙をほのめかす。
まさに、コミュニケーションの奇策の連発。
ところが、孫子の兵法には
「凡そ戦いは、正を以って合い、奇を以って勝つ」と云う事が説かれている。
その意味するところは、戦いは先ず正々堂々と正攻法で攻める、そして奇策、奇襲によって勝つ。
言い換えれば奇策、奇襲だけでは勝てない事を強調している。
信長が桶狭間の戦いで奇襲によって今川義元を倒した話は有名。
これが、その後、過大評価され、日本軍の奇襲好き戦法につながる。
太平洋戦争では奇襲の連発で日本軍自らが墓穴を掘る事になる。
どうも菅総理のコミュニケーションは日本軍の轍を踏むことになりそうな雲行き。
*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。
~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~
田中 慎一フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長
1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。
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