トヨタのリコール、東電の原発事故、ソニーの個人情報漏洩などのクライシス対応を見ていると、あることに気付く。
多くの日本の企業には「コミュニケーション」と云う括りの機能や組織がない。
ステークホルダーと世間(Public)に対してコミュニケーションをはかり、関係性(Relations)を構築すると云う発想で組織づくりがなされていない。
コミュニケーションとなると大抵は広報部と云うことになるが、日本企業の広報が果たしている機能は企業のコミュニケーションという視点から考えると相当に限定的である。
その中心はマスコミ対応である。
企業によっては社内広報の機能を持っているところもある。
また、ネット時代を迎えて、ウェブの管理などの業務も加わるようになった。
しかしながら、企業が行っているコミュニケーションの全体から見れば、本当に一部である。
グローバルを目指す日本企業にこそ、コミュニケーションを間接部門、コストセンターとして考えるのではなく、有事の際に企業を守る経営戦力として位置付ける発想が必要である。
*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。
~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~
田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長
1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。
☆twitterアカウント:@ShinTanaka☆
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